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一口法話


お盆の心

投稿日:2006年07月10日
挿し絵
▲精霊棚の飾り方

 お盆は、日本の代表的な国民的行事のひとつであります。
正式には盂蘭盆会と申し、お釈迦さまのお弟子の一人である目連尊者が亡き母を供養した話から生まれ伝えられたものであります。
日本では一般に「ご先祖さまの み霊をお迎えして供養すること」と解釈されております。
 そのことから、お盆は、自分がこの世に生を受けることができたのは、両親や祖父母ご先祖のお陰であると感謝し、生命の尊さに目覚め、生きる誓いを立てる大切なひと時でもあります。
 お仏壇やお墓を家族みんなで協力してきれいにし、心のこもったおもてなしをする供養の心が大切であります。

 そこで、ご先祖について、あるいは生命の尊さについて考えてみたいと思います。
ご先祖とは、生命を受け継ぎしてくれた多くの人たちです。
つまり、私たち一人一人の生命は、父母の生命が2つ、祖父母の生命が4つ、遡って10代前で1024人の生命があったことになります。
 受け継ぎ受け継がれて私たちは、この世に人間として誕生したのであります。
そして、誰一人として生命を受け継ぎしない人がいなかったから私たちは人間として生を受けたのであります。
このように、遡った多くの人たちをご先祖と申し、そして、私たちのこの生命が我が子、我が孫に受け継がれていく人たちを子孫と申します。
 私たちが今生きていると言うことは、ご先祖の代表者として生きているのであります。
尊い生命に目覚め、ご先祖や両親に感謝の心を抱くのであります。

 いかに生きるか。それは自分で決めなければなりませんが、仏の教えからそのヒントを得ることができます。
皆さん良くご存知の「西遊記」という物語からお話をしたいと思います。
西遊記は、玄奘三蔵法師が孫悟空、沙悟浄、猪八戎をお供にして天竺(インド)へ行き、仏教を学び仏典を中国長安(西安)に持ち帰り、インド原語(サンスクリット語)を漢字に翻訳する偉大な事業を成し得たお話です。
お陰で私たち日本人も仏の教えを読むことができるわけであります。

 ところで、孫悟空、沙悟浄、猪八戎は本当に存在したのでしょうか。
否、作り話として片付けとはならない大切な教えがそこにあります。
 実は、人間の心の中に孫悟空、沙悟浄、猪八戎の示す弱い心があり、それを制御、コントロールすること、取り除くよう精進努力することであり、仏教で言う三毒はこのことを意味しています。
つまり、貪・瞋・痴。
貪る心・怒る心・愚痴を言う心です。
西遊記の孫悟空、沙悟浄、猪八戎であります。
日々の生活の中で貪ったり、怒ったり、愚痴ったりすることを制御、取り除くよう努めることが肝要なわけであります。

 今年もまもなくお盆を迎えます。
都会から先祖のお墓がある地方へと民族移動があることでしょう。
遠く離れている家族や兄弟が一同に集まり語り合い、ご先祖をお迎えできることは何とありがたいことでありましょう。

大雄寺住職 倉澤良裕 記す


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